家電市場は昨年に引き続き年初も順調に推移している。今年1月の実績も前年同月比107.9%(GfKジャパン、金額ベース)となった。ただ、この動きに水を差しそうなのが、4月1日にスタートする家電製品価格の「総額表示」義務化の動きである。
商品やサービスの価格に消費税分を加えた「総額表示」だ。消費税率を5%から8%に引き上げる前の2013年10月に施行された「特別措置法」(条件付きで税抜き価格での表示を認める法律)が今年3月で失効するのに伴い施行されるもの。
現在、「税抜き価格+税」という形式で表示している場合、4月から税込みの総額表示となる。チラシだけでなくホームページや陳列棚、プライスカードなどの価格を変更する必要がある。
値上げのような印象を持たれかねない
消費者にとっては支払う価格が一目で分かり他店との比較がしやすくなる。一方、販売店にとっては値上げのような印象を持たれかねず、売り上げに影響するのでは、と懸念する声が強い。家電市場では2019年10月1日、消費税率が8%から10%に2%引き上げられただけでも家電消費に大きく影響したからだ。
では、どのような表示になるのか。国税庁HPに掲載されている具体的な表示例を示そう。
例えば、次に掲げるような表示が「総額表示」に該当する(例示の取引は標準税率10%が適用されるものとして記載)。
・11,000円
・11,000円(税込)
・11,000円(税抜価格10,000円)
・11,000円(うち消費税額等1,000円)
・11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)
総額表示では、支払総額である「11,000円」さえ表示されていればよく、「消費税額等」や「税抜価格」が表示されていても問題はない。
例えば、「10,000円(税込11,000円)」とされた表示も、消費税額を含んだ価格が明瞭に表示されていれば、「総額表示」に該当する。
なお、総額表示に伴い税込価格の設定を行う場合において、1円未満の端数が生じるときには、その端数を四捨五入、切捨て又は切上げのいずれの方法により処理しても差し支えない。