業界トレンド

ロボット掃除機「10%の壁」超えられるか 

2023年には10%狙う

家電製品の普及率が10%を超えると普及に加速がつくと言われている。その普及率10%を射程圏内に捉えているのが、ロボット掃除機市場で国内トップシェアのアイロボットジャパンだ。ルンバとブラーバを合わせた2021年1月時点での世帯普及率は7.2%。2023年には10%を狙う。

普及率アップの戦略商品と位置付けているのが今年2月に発売した「ルンバi3+」(税込み9万9,800円)と、「ルンバi3」(同6万9,800円)。前者が自動ゴミ収集機能の搭載機、後者が非搭載機である。

中でも注力しているのが、自動ゴミ収集機能(クリーンベース)の搭載機「ルンバi3+」。ルンバはしっかりゴミを取るので、本体のゴミはこまめに捨てる必要がある。

ルンバi3+

究極のほったらかし掃除機

「ルンバi3+」のダスト容器のゴミは、クリーンベースの密封型紙パックに自動的に排出される。最大60日分のゴミを収集でき、ゴミ捨ての手間が省ける。集めたゴミは紙パックごとそのまま捨てられ、手を汚すことなくホコリも舞い散ることもない。

さらに、クリーンベースがあれば面倒なゴミ捨てをしなくてすむ。「ほったらかし掃除機」の完成形だといえるだろう。なお、交換用の紙パックは2,178円(3枚入り)。

最大稼働時間は75分で、2LDK程度であれば1回でカバーする。バッテリー残量が少なくなると自動で充電して中断したところから再開する。

清掃中の立ち往生を防ぐセンサーを新たに装備。奥が低くなっている家具の下など狭い場所への進入を回避する。また、ゴミが特に多い場所を検知する機能を搭載。きれいになったと本体が判断するまで集中的に掃除する。

スマートスピーカーとの連携も

スマートフォンとの連携も可能だ。スマホ用の「iRobot HOME」アプリを使えば、清掃する部屋の選択やスケジュール設定などの細かなカスタマイズが行なえる。外出先から清掃を指示することができ、清掃完了時には通知が届く。清掃状況の確認もできる賢いアプリだ。

スマートスピーカーのGoogleアシスタントやAmazon Alexaなどと連携し、ルンバを操作できる。個々のユーザーの清掃習慣やライフスタイルに合わせた清掃スケジュールや清掃方法を提案してくれる。花粉の時期、ペットの毛が抜け変わる時期には清掃回数を増やすなどといった具体性に富んだ提案だ。

新ルンバの新しいデザインにも注目したい。これまでルンバ本体は黒系のカラーだったが、ファブリック調のグレーを採用し、生地や織物のテイストが楽しめる親しみやすいデザインに仕上げた。同社では、「インテリアを損なわないデザインや機能性で、新規の若いファミリー層を取り込みたい」という。

ロボット掃除機市場の普及率がなかなかアップしない理由として、「従来型の掃除機で十分」「価格が高い」「自分で掃除しないとキレイにならない」という3つがあるといわれる。果たして、アイロボットジャパンの新モデルは、その壁を乗り越えられるだろうか。

八巻 潔

八巻 潔

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株式会社ブレインズ代表
1979年「電波新聞社」に入社。
1996年家電・IT関連の出版社「リック」に入社。
「技術営業」「IT&家電ビジネス」編集長を経てリック専務取締役。
「ヤマダ電機に負けない 弱者の戦い方」(2008年)「家電製品アドバイザー試験 早期完全マスター」(2001年~2013年)などを出版。
2014年家電業界のジャーナリスト&コンサルタントとして独立。
2016年株式会社ブレインズ設立。

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地域店ドットコム運営元

株式会社ブレインズ

ブレインズのコンサル

地域店 コンサルティング

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