プロの電器店がお客様に勧めるベストな家電とは…。全日本でんき屋ネットワーク協同組合(Dj-net)、石川県電器商業組合青年部会、全国の有力地域店、株式会社ブレインズなどの団体・グループの73名がベスト家電を選ぶアンケートに投票し、投票された商品は延べ100点となった。投票が集中したのは生活家電。商品別では洗濯機、エアコン、掃除機、自動調理器、電子レンジなどが上位を占めた。テレビの投票は5%と振るわず、2011年後半以降の地デジバブル崩壊後における地域店の取り組みの変化が伺える。では、気になる各部門のトップ商品を見てみよう。
生活家電が圧倒的な強さ
地域店のベスト家電アンケートは、白物家電や季節商品、調理家電などを含む生活家電、AV関連、理美容家電、健康家電など多岐に渡る分野から一票が投じられた。
圧倒的な強さを見せたのは生活家電。洗濯機をはじめエアコン、掃除機、自動調理器、電子レンジの5部門が上位を占めた。その5部門のノミネートモデルからトップ賞を選定した。
ノミネートモデルは洗濯機が11機種、エアコン10機種、クリーナー9機種、自動調理器5機種、電子レンジの5機種という内訳となった。
各部門のトップ賞選定にあたっては、Dj-net、石川県商組青年部会、全国の有力地域店、ブレインズから8人で構成される「選定委員会」を設け、同委員会が選定した。
選定は製品の「安全性」「機能性」「ワクワク性」「SDGs度」「使い勝手」の5項目を基準に行った(各項目の詳細は文末に掲載)
では、各部門のトップ商品をみてみよう。
【洗濯機部門】
●パナソニック「「NA-LX129C」
・洗濯容量12㎏のななめドラム洗濯乾燥機。従来の液体洗剤・柔軟剤・おしゃれ着洗剤に加えて、「酸素系液体漂白剤」も自動投入できるのが大きなポイント。
子供が小さくて汚れが多いうちは「漂白剤」、大きくなってからは大人と一緒に「おしゃれ着洗剤」を使うなど子供を持つ世帯には満足度の高い機能である。
さらに、「はっ水回復」コースも備えた。アウトドアウエアや衣類の着用に伴って低下する「はっ水機能」をヒートポンプ乾燥の熱を利用してよみがえらせる。
近年のアウトドアブームに伴いはっ水機能を備えた衣類や、「衣類を長く大事に愛用したい」というニーズに応えた。
ちなみに、自動投入のメリットは、「計量の手間を省ける」「面倒な計量の手間がなくすぐに洗濯できる」、「適量を自動投入するので入れ過ぎを防げる」「洗剤のなどの容器がなくなり洗濯機回りをスッキリさせる」などがある。
【エアコン部門】
●日立「XCシリーズ」
・決め手となったのは「凍結洗浄」機能。エアコン内部の熱交換器を凍らせて霜を作り、その後一気に解凍することで、霜と共に汚れを洗い流す機能。このプロセスにより、エアコンの内部を清潔に保ち、ホコリの目詰まりによる性能低下も防ぐ。
この機能は自動で行うことも、手動で行うことも可能で、自動凍結洗浄は約1週間に1回程度行われる。手動凍結洗浄はエアコン停止中にリモコンの「凍結洗浄」ボタンを押すことでいつでも開始する。
ただし、凍結洗浄はエアコン内部の汚れを減らす効果はあるが、カビを完全に防ぐものではないので注意が必要。
※エアコンについては地域店ルートで流通しているシリーズで2.5㎾の比較とした
【掃除機部門】
●日立の「PKV-BK50L」
・紙パック式からサイクロン式に買い替えたが、再び紙パック式に戻るユーザーも少なくない。一つの理由として、サイクロン式はダストカップが小さくあっという間に一杯になってしまうので、そのお手入れが面倒だという不満点がある。
紙パック式集じん方式を採用。集じん容積は大容量の0.6Lで、強い吸引力が内部に集めたごみを圧縮し、一般家庭の約4か月分相当のごみをためられる。パック交換の間隔が長くなりランニングコストが抑えられるというわけだ。
ごみ捨て時にほこりが舞いにくく、中のごみもこぼれにくい「こぼさんパック」を採用。さらに、3層構造の紙パックなどで微細なごみを約99%逃がさない「きれいな排気」を実現した点もが評価された。
【自動調理部門】
●シャープのヘルシオホットクック「KN-HW24G」
・元祖「ほったらかし家電」。コンパクトで設置しやすい水なし自動調理鍋で2.4Lの調理容量を持ち、2~6人分の料理を作ることができる。
これまで加熱時のみに使用していた「かきまぜ機能」を食材のつぶしや卵の溶きほぐしなど加熱前後の手間のかかる準備や仕上げにまで広げた。肉じゃがなどの煮物は煮崩れなく、少なめの調味料でも中までしっかり味がしみ込む。
さらに、独自の「まぜ技ユニット」の最大回転スピードを約2倍にアップし、お菓子作りなどに便利な生クリームの泡立てができる。
ヘルシオホットクックは無線LAN機能を備えており、約6割のユーザーがネットワークに接続している。公式サイトからダウンロードできるメニューの豊富さはこの分野では業界トップを誇る。
この商品を推した代表的な声を紹介しよう。「名前の通り材料を入れてボタンを押して、放っておくだけで料理ができあがる。新しいメニューもどんどんダウンロードできるし、レシピ集を見なくても液晶表示に作り方を表示してくれるのは本当に助かる。1台だけでなく2台所有している方やお鍋を複数持つ方もおられる。買ってよかったとお客様から何度も言われます」。
【電子レンジ部門】
●シャープ「ヘルシオ AX-LSX3A」
・過熱水蒸気のオーブンレンジを発売している家電メーカーは多いが、シャープを除いて過熱水蒸気とレンジ加熱を併用しているケースが大半。ただ、この加熱機能だと食材から水分が流出して食材本来の食感が変わってしまう。
ヘルシオはレンジ加熱を用いず、過熱水蒸気や水蒸気のみで温めるのが特徴。
温め時間はかかるが水の力で食材の水分を適度に補いながら加熱するため、食材の水分を保ったまま、ふっくらこんがりと調理する。
冷めたおかずや惣菜をできたてのような食感に復元する機能がポイント。「揚げ物」「焼き物」「蒸し物」「パン」など4カテゴリーの幅広い食品に対応する。
食材に合わせて庫内の温度を適切にコントロールし、すばやく解凍することができる「食べごろ解凍」機能を搭載。食材を角皿に並べ、調理方法を選ぶだけで、冷凍・冷蔵・常温の食材を一緒に調理できたり、低温のオーブン調理や音声操作ができる点も評価されている。
【選定基準】
●安全性…PSE マークや S マーク、原産国表示の有無など消費者が安全に使用できるように設計されているかどうかチェック
●機能性…当該製品が同クラス、同価格帯の製品に比べて基本性能や機能などに優れているかをチェック
●ワクワク性…当該製品のワクワク感を評価。特に機能やデザインなどの革新性を評価
●SDGs度…省エネ性能に優れ環境負荷が小さく、メンテナンス性にも優れ長持ちする SDGs製品を評価。SDGs の目標達成に力を注いでいるメーカーも評価ポイント
●使い勝手…当該製品の使いやすさや操作性の良さをチェック