政府は省エネ性能に優れた住宅を対象に、家電製品などと交換可能なポイントを付与する「グリーン住宅ポイント」制度を本格的にスタートした。
新制度は新型コロナの影響で落ち込んでいる住宅需要の喚起と、政府が取り組む「脱炭素化」の推進が狙い。事業費1,094億円を計上した。
太陽熱利用システムや断熱性能が高い壁など省エネ性能の高い住宅を新築する場合は40万円分のポイントを発行。リフォームでは、断熱改修やエコ住宅設備導入、耐震改修、バリアフリー改修などが対象で、最大30万円分のポイントが発行される。
リフォームでのエコ住宅設備の対象となっているのは「太陽熱利用システム」で太陽光発電ではないという点に注意したい。
太陽熱利用システムは再生可能エネルギーの一つで、太陽の熱を使って温水や温風を作り、給湯や冷暖房に利用するシステム。国内で最も普及しているのは戸建住宅用太陽熱温水器だが、ホテルや病院、福祉施設など業務用建物でも使用されている。
その他、エコ住宅設備には地域店が得意とする「エコキュート」や「節水型トイレ」などが対象となっているので、この制度を利用した「水回りリフォーム」を提案する店が増えそうだ。
バリアフリー改修も
バリアフリー改修では「手すりの設置」と「段差解消」が対象となっている。2点とも「介護保険」を利用できる自宅の改修工事、いわゆる「介護リフォーム」である。
介護保険による住宅改修は自己負担が1割。つまり、上限いっぱいの20万円の改修を行なっても、自己負担額は2万円で済む。
2010年度の介護リフォームによる住宅改修費は403億円。2014年度には425億円に増加し、現在は480億円に増えているようだ。実は、その内6割が手すりの施工工事だという。
「既存住宅約6,000万戸のうち30%~40%しか手すりが付けられていないのが現状」と指摘する業界関係者もいる。高齢者人口が増加する中で、膨大な手すりの潜在需要が眠っているというわけだ。
新制度を利用してバリアフリー改修を提案すれば、ユーザーは介護保険の助成額とともにダブルポイントを得られることになる。
ポイントは家電製品などの商品をカタログから選んで交換できる他、住宅の玄関に手洗い場を設置するなど、新型コロナ感染防止に関連した追加工事などの代金にも充てられる。
対象となるのは2020年12月15日から今年10月末までに新築、リフォームを行った契約者が対象となる。ポイントの発行申請は原則として契約者が行うが、建築工事の請負事業者や分譲事業者などの代理でも可能だ。