国交省は4月の「建築着工統計調査」を公表した。新設住宅着工戸数は6万9,162戸(前年同月比12.9%減)で、10カ月連続で減少した。
過去10年間で4月の水準をみると、2011年の東日本大震災発生に次ぐ水準となった。持家の落ち込みは、4月としては60年前の1960年の2万382戸とほぼ同水準の2万1,015戸(同17.4%減)と深刻だ。新型コロナウィルス感染拡大防止による作業の休止が大きく影響している。
不動産経済研究所の4月の新築マンション市場調査をみても、首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)の発売戸数は686戸で前年同月比51.7%減、近畿圏(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山)は494戸で同42.0%減とともに4月では過去最低水準の販売となった。緊急事態宣言発令によるモデルルームの物件営業の自粛が大きく影響した。
一方、総務省が発表した4月の家計調査によると、1世帯(2人以上)あたりの消費支出は26万7,922円。物価変動の影響を除いた実質で前年同月比11.1%減と、比較可能な2001年以降で最大の下げ幅となった。
今回の調査で一段と鮮明になったのは、生活者の「外」から「内」への消費行動のシフトである。巣ごもり消費が伸びる一方、外出に伴う消費支出は大幅に減少し、全体の支出額は前年同月を大幅に下回った。