新型コロナウイルスの感染拡大は家電市場にも大きな変化をもたらしている。伸長した商品をざっと挙げてみよう。
調査会社のGfKによると、空気清浄機(3月136.8%⇒4月191.8%)、ホットプレート・汎用鍋
(同133.7%⇒187.9%)、パソコン(同92.5%⇒133.8%)などといったところだ(パソコンの3月の数値は供給不足によるもの)。
コロナ対策で「加湿器」需要が急増
中でも、業界を驚かせたのは3月以降の加湿器需要の急増だ。GfKによると、1月は前年同月比51.1%、2月は98.8%と低迷していたが、3月は95.5%、4月は344.6%、直近の5月11日〜17日も282.7%と絶好調だ。
加湿器需要のピークは12月。エアコン暖房での室内乾燥を防ぐ目的で使われるのが一般的だが、オフシーズンでも需要が大幅に伸びたのはまさしくコロナ要因である。
2020年3月の加湿器の出荷台数は前年同月比3.3倍。業界シェアトップのダイニチ工業(新潟市)の3月の出荷台数は同2.7倍、4月も同3倍という好調ぶりを示している。
加湿器がコロナ対策の決め手の一つになったのが、政府が「適度な湿度を保つ」ことを感染症対策の一つに挙げたこと。首相官邸のWebサイトでは「新型コロナウイルス感染症対策」として、①「手洗い」②「普段の健康管理」③「適度な湿度を保つ」など3つのポイントが示された。
③では「空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下します。乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保ちます」と表記され、さまざまな場所でアナウンスされたのが功を奏した。
いずれにしても、新型コロナウイルスの終息は1、2年の長期戦。二次感染の懸念もあり、今年秋以降の商戦では重点商品の一つとなるだろう。