コロナ禍で急速に進んでいるのが「デジタルシフト」だ。ネット普及の勢いはすさまじく、市場はメーカーから流通、流通から消費者が主導権を握る「顧客中心市場」に変化しつつある。
そうした中で、ネット市場への取り組みが致命的に遅れているのが地域の電器店だ。ホームページの活用実態を例にとって説明しよう。
家電VC(ボランタリーチェーン)のコスモス・ベリーズが2016年3月に実施した加盟店実態調査によると、取引先の主要4業種のうち、活用状況が最低レベルだったのは「電器店」の15%。活用率が一番高かったのは「工務店」(85%)、次いで「燃料店」(68%)、電気工事店(40%)だった。
中小企業庁がまとめた「2016年版小規模企業白書」によると、ホームページ活用率は41.4%である。電器店は小規模企業よりも26.4ポイントも低かったというわけだ。
中小企業のデジタル化は大企業に比べて格段に遅れている。それが中小企業の生産性の低さの大きな要因になっていることは確かだ。
そこで中小企業庁は、新型コロナウイルス感染症拡大で中小企業のテレワークなどデジタル化の遅れが顕在化したことを踏まえ、支援策の充実を進めている。
2020年度の第1次補正予算で100億円を措置し、中小企業基盤整備機構が全国の中小企業のデジタル化・IT活用促進に取り組んでいる。フリーランスや兼業、副業などの人材も含めたIT専門家を「中小企業デジタル化応援隊」として中小企業のデジタル化を強力に支援している。
デジタル化の第一歩はサイト登録から
まず、支援を希望する中小企業と支援するIT専門家は「中小企業デジタル化応援隊事業」のサイトに登録する。サイト運営事務局のアデコ㈱は登録された内容から中小企業とIT専門家をマッチングする。
デジタル化支援の対象は、テレワークやウエブ会議、ECサイトの構築、キャッシュレス決済、セキュリティ強化など多岐にわたっている。
デジタル化の整備を考えている電器店は「中小企業デジタル化応援隊事業」で検索してみよう。出遅れていたデジタルシフトの第一歩が踏み出せるかもしれない。