コロナ禍で暮らしの困りごとを解決する「生活支援サービス」市場が堅調に推移している。ただ、新規参入業者の中には失敗事例も少なくない。
生活支援サービスの大手、ベンリーコーポレーション(愛知県清須市)は、失敗の3大要因として、次の3点を挙げる。
1.出来そうなサービスを選んで始める
3.最初から低料金の設定
―-など3点だ。
逃げ回るスタッフも
1.「出来そうなサービスを選んで始める」というケースは、異業種からの参入組ではよくある事例だ。ある業者は、トイレ・キッチンなどの排水の詰まり抜き、トイレタンクなどの水漏れ修理、家具の移動、運搬など自社事業の関連分野や社員のスキルなどを念頭に「出来そうなサービスから選んで始めた」が、しばらくして新規事業は尻すぼみになったという。
生活支援サービスは幅広い。自社都合でサービスを絞り込むやり方は、お客のやって欲しいことと事業者のサービス提供内容とのギャップが生まれるので徐々に依頼件数は減少し、最終的には事業が継続できなくなるケースが多いという。
2.「スタッフが兼務でサービスが片手間」というのは小売業ではよくあるパターンだ。あるホームセンターでは店舗スタッフが生活支援サービスを兼務する形でスタートしたが、本業が忙しくなると困りごとサービスに逃げ回るスタッフが出たケースもある。サービスの取り組みが消極的になれば、ここでもまた依頼件数が減少しやがて本業の集客にも影響する。
3.「最初から低料金の設定」は新聞販売店の事例で説明しよう。ある販売店は30分500円で地域ユーザーの「お困りごと」サービスを始めた。新聞配達員が早朝と夕方以外の空いている時間を使っての新たなビジネス。新規購読の開拓と既存購読者のつなぎ止めも狙ったものだ。
片手間でできるビジネスではない
安いサービス料金を設定したのでサービス客は増えたが、新規購読にはなかなかつながらず、スタッフの負荷は増えるばかり。やればやるほど手間と時間がかかり、コスト(人件費)に合わず新規事業を見直す結果になった。
新規参入業者が成功するポイントとして、同社ではこう話す。
「生活支援サービスという事業は、完全なる労働集約型で訪問型の事業。薄利多売というのはありえない業態なので、最初からしっかりと利益が出る価格設定にすべき。もちろん、顧客の信頼が第一なので片手間でできるビジネスではない」。