売り上げの5割以上がリフォーム
コロナ禍でリフォーム市場も着実に伸びている。調査会社の矢野経済研究所によると、2020年の住宅リフォームの市場規模は6.5兆円となり、2021年は6.7兆円、2022年は6.9兆円と予測している。
こうした中で、神奈川県電機商業組合理事長の吉川栄治氏は、地域店もリフォームビジネスに積極的に取り組むべきと、「電気屋ならではのリフォームビジネス」を提唱している。以下は吉川氏の「リフォームビジネスのススメ」である。
当店はここ数年、家電とリフォーム売り上げが半々になってきており、リフォームビジネスに助けられています。
地域店のリフォームビジネスのポイントは、家電製品や住宅設備機器販売の延長線上にリフォームビジネスがあるということです。地域店の強みを生かせるということですね。
ハードの困りごとに応えることによって、リフォームの仕事が取れるのです。機器が「故障した」「調子がおかしくなってきた」、そのタイミングがリフォームへとつながりやすい。
例えば便器の詰まり、水漏れなどもそうですね。それを契機にトイレリフォームを獲得できる。浴室では水栓シャワーや鏡の補修なども重要なきっかけ。いわゆる営繕活動ですが、こうした対応もリフォーム需要を獲得する大きなチャンスになります。
地域店の技術やスキルを生かすことができて取り組みやすいのが、バス、キッチン、トレイなどの水回りリフォームです。
暮らしの困りごとに対応できるのが地域店の強みです。お客様は誰に頼んでいいのか、分かりません。そこで、身近で親しい地域店の出番となります。暮らしの困りごとの相談を受けたら、リフォームビジネスの第一歩になるかもしれません。
どんなリフォームがあるの?
我々の仕事先はお客様のお家です。家の中に入ることが許される仕事って、そうザラにはありません。この強みをもっと活用すべきです。それでは地域店リフォームのチェックポイントについて、お客様宅の居室からみてみましょう。まず、壁クロスの汚れや床のキズ、畳表の傷み、天井の汚れなどをチェックします。
火災保険の適用範囲を知ろう
電気屋ならではのリフォーム提案といえるのが、台風や大雨などでお客様宅のアンテナが倒壊したときです。意外と知らないお客様が多いのですが、もし、お客様が火災保険に加入していれば、アンテナ工事はその適用範囲になります。
火災保険は「不測かつ突発的な事故」に対して幅広い範囲で補償適用となる保険ですから、風雨による自然災害で倒壊したアンテナ工事も適用されるのです。
しかも、アンテナ工事の見積もり書とアンテナ工事の写真を送るだけで補償金が支払われます。実際の請求金額でなくてもいいんです。お客様に喜んでもらえること請け合いです。
火災保険の適用範囲は広いので、「台風による強風で屋根瓦が破損してしまった」ケースでも大丈夫です。アンテナ工事の際に、屋根瓦をチェックしてみるのもいいかもしれません。
火災保険に加入していても、どこまで補償されるのか分からないという人もいるでしょう。火災保険というのは、70年に1回使われるというレベルの保険なんですね。そうすると今まで何十万円もお金を支払ってきているお客様もいるわけで、その保険をうまく使って、お客様にメリットを享受していただくことも大切なことだと思います。
屋根リフォームでは、スレート屋根塗装の劣化・雨樋のヒビ割れ・破損・下地の腐食・雨漏り・スレート屋根の傷み・屋根瓦のズレ・屋根の漆喰の脱落などをチェックするのがいいでしょう。
先ほど、省エネリフォームのお話しをしましたが、これは窓リフォームが最適ですね。断熱の最大の弱点は窓にあります。窓は熱の出入りが一番多い場所ですから「二重窓」の提案がポイントになると思います。
二重窓にすることで、光熱費の削減はもちろん、冬は暖かく、夏は涼しく過ごせます。省エネ対策だけでなく、ヒートショックや熱中症対策にもなると、お客様から大変喜ばれました。
最近のトレンドはペットリフォーム
最近、増えているのが犬や猫のペットリォームです。新規でペットを飼い始めるお客様が増えており、2020年の新規の飼育頭数は犬が46.2万頭(前年比14%増)、猫が48.3万頭(同16%増)と増加傾向にあるようです(ペットフード協会)。
どんなリフォームかといえば、例えば滑りにくい床やおしっこなどを染み込みにくくするマット、猫階段、爪でのひっかきや衝撃に強い網戸など、いろいろなものがあります。
特に、気を付けたいのはシニアのワンちゃん。老犬ですと、床で滑って腰を悪くする。人間と一緒ですね。床のリフォームでは、滑りにくくクッション性のあるマットに床を張り替えるという工夫も必要です。ペットの臭いの問題も出てきます。高級タイプの空気清浄機やエアコンの強力な提案材料になります。