IoTによる家電の進化において、AIとともに大きな推進力となるのが第5世代移動通信システム、いわゆる「5G」です。
動画などの大きなデータを「高速大容量」で通信でき、しかも遠距離通信でもずれが生じにくい「高信頼性」「低遅延」、さらには1平方キロあたり100万以上の機器を同時接続できる「多接続」という特徴があります。
4K・8Kのような高精細な動画もストリーミング再生(ダウンロードせずに、インターネット接続でほぼリアルタイムに再生)ができるのも大きな特徴です。
多接続でIoT家電が身近に
IoT家電でいえば、「多接続」が大きな武器になります。身の回りのありとあらゆるアイテムがワイヤレスでネットワークに繋がる。同時に多くの端末を接続できることから、機器のIoT化が一気に進むと予測されています。
AIスピーカーなどによって、家電製品を操作することができますが、端末自体が直接ネットワークに繋がれているわけではありません。Wi-FiやBluetoothなどの機器を経由しているため、多くの端末の同時接続はできないのです。
5Gでは1㎢あたり100万台以上のデバイスの同時接続が可能です。これらの機器が直接ネットワークに繋がり、ストレスなく使えるようになります。
5Gの弱点とは
一方、5Gの普及によって、現在使っている光回線やWi-Fiなどが不要になるのでは?という懸念が出ています。でも、今後5Gが全国に行き渡ったとしても、光回線やWi-Fiの必要性は当面変わることはないでしょう。
というのも、5Gは高い周波数帯(ミリ波)を利用します。5Gは高速で大量の情報をやり取りには優れていますが、電波の直進性が強く建物などの遮蔽物には弱い。建物の中の家電などは、従来のように光回線とWi-Fiを組み合わせて利用することになるでしょう。
課題は5Gに対応するエリアの広がり。電波が届く範囲が狭いので、5Gが4Gと同等の通信エリアを確保するには、より多くの基地局数が必要です。
5Gが普及するには、携帯電話料金の値下げだけでなく、携帯各社とも基地局の整備を急ぎ、対応エリアを拡大することが当面の課題となります。