コロナ禍の「巣ごもり消費」によって、薄型テレビが息を吹き返した。GfKによると、昨年前半戦(1月〜6月)の販売台数は、前年同期比14%増の300万台と大きく伸びた。足元の昨年11月は前年同月比122.9%、12月も同126.7%と好調に推移している。
一方、テレビ市場で大きく変化しているのが「テレビの売り方」だ。従来の「高画質」「ハイスペック」「価格」というワンパターンの販促手法から、ここに来てユーチューブや動画配信サービスの提案など「コンテンツの楽しみ方」へと変化している。
ユーチューブで4Kをアピール
栄電気(東京都江東区)社長の沼澤栄一氏はシャープ販社の協力を得てユーチューブを活用した動画を店頭やお客先でアピールしている。
ユーチューブの番組名は「沼ちゃんの家ナカ快適家電シリーズ」。番組では、4K/8Kテレビやヘルシオホットクック、洗濯乾燥機の特徴や使い方などを分かりやすく説明している。
4K/8Kテレビの説明では、マイク搭載のリモコンの新機能をアピール。見たい番組やジャンル、タレントなどの名前をマイクに話すと、即座に関連番組を検索する機能だ。
コロナ禍でなかなか行けない旅行やコンサート、スポーツ観戦などを手元のリモコンで楽しんでみませんかと沼澤氏はユーチューブで呼び掛ける。
文字入力が苦手なお年寄りも、カラオケ感覚で好きな番組をさまざまなアプリやユーチューブから呼び寄せることができる。沼澤氏は動画を見たというお客や番組の問い合わせが増えており、ユーチューブを使った販促に手応えを感じている。
富山県富山市に店舗を構えるK-DIC社長の黒田保光氏は、コロナ禍で沈みがちな高齢客に元気になってもらおうと、4Kテレビ楽しむユーチューブを訴求ポイントに、「お手紙DM」作戦を展開した。
外に出掛けられない高齢者のニーズや好みに合わせて、旅行やコンサート、スポーツ、映画、ドラマ、趣味などを切り口に4Kテレビの画像の美しさと手軽に楽しめるユーチューブ視聴の提案だ。2週間で4Kテレビ8台が動いたという。ベタなアナログ販促だが、高齢客の心をゲットしたようだ。
ネックスピーカーとのセット提案も
音質がイマイチの4Kテレビに、ネックスピーカーとセットで提案している店もある。ネックスピーカーはテレビの音声をワイヤレスで楽しめる商品。音の出口が耳に近いので小音量ながらも迫力あるサウンドを体感できる。
テレビ販売の客単価アップ策として、「テレビの音声をはっきり聞き取りたい」シニア層、「深夜にゆっくりくつろいでテレビを見たい」中高年層、「家事をしながらテレビや音楽を楽しみたい」主婦層向けと、ユーザー層に合わせて提案トークを変えるのが販促のミソだ。ソニーをはじめ、シャープ、JBL、Boseなどが発売している。