膨大なデータから価値を生むAI
あらゆる家庭にある家電からインターネットを通して集まる膨大なデータは、そのままでは役に立ちません。膨大なデータを分析して有用な情報にするために力を発揮するのがAI(Artificial Intelligence=人工知能)です。
実はAIの定義は研究者の間でも定まっていません。人間の知能のようでありながら、疲れることを知らず、膨大なデータを処理し、学習し、推論するシステムと、ここでは覚えてください。
現在は、AIの考え方を人間が定義することなく、自発的に判断、推論する「ディープラーニング(深層学習)」も登場し、自動運転や医療分野で活躍しています。
洗濯ごとにAIが学習
家電で使われている最新のAIとして、シャープが9月に発売した洗濯乾燥機「「ES-W113」を紹介しましょう。これには、洗濯物の仕上がりの好みを学習する「AI標準コース」が搭載されています。
洗濯運転状況などをスマホで確認できるアプリ「COCORO WASH」と連携しており、AIがユーザーの好みの洗濯の仕上がりを学習し、洗濯のセンサーと掛け合わせて好みの仕上がりに近づくように洗濯するという機能です。
具体的に言えば、洗濯・乾燥運転後、アプリに「衣類のシワが気になる」「汚れが気になる」「しっかりすすぎたい」などといった洗濯物の仕上がりに対する感想を送ると、その感想をもとにAIが次回以降の運転に反映するのです。
毎回の洗濯ごとにAIが学習することで、面倒な設定をしなくても、自動的に自分好みの仕上がりを実現するというAIですね。
AIの思考は、膨大なデータにより支えられています。IoT家電においても、つながる家電が多くなればなるほど、得られる効果、効能は拡大します。まだまだ歴史の浅いIoT家電ですが、今後普及が進み、利用する家庭が増えるにつれて、加速度的な進化を遂げていくでしょう。