業界トレンド

家電の無人店舗が登場

冷蔵庫、洗濯機、テレビ、電子レンジなどがメイン

全国でも珍しい家電の無人型リユースショップが今年7月、東京・蒲田にオープンした。店名は「ゴジユウニ蒲田店」。365日24時間、キャッシュレス決済で冷蔵庫、洗濯機、テレビ、電子レンジなどを販売する。

リユースとは一度使用したものをそのままの形でもう一度使うこと。再利用というと、リサイクルをイメージするかもしれないが、リサイクルは製品を粉砕したり、溶解、分解するなどして原材料化して再資源とする。

リユースは製品や部品などを解体したり分解せず、修理・点検、洗浄などを施し、安心して使える品質を確保した上で再び市場にリリースする。

同店の売り場面積は約6坪。365日24時間、対面することなくキャッシュレス決済まで完結する。主な商品は冷蔵庫、洗濯機、テレビ、電子レンジなど4商品で、各商品とも常時8〜10台以上の在庫を並べている。

価格は商品ごとに一律料金

価格は商品ごとに一律料金 価格は各商品ごとに一律料金とし、型式やサイズ、色などを比べて選ぶ。価格は冷蔵庫(80ℓ〜140ℓが1万1,000円、洗濯機(3.8〜7.0㎏)が1万1,000円、テレビ(24〜34インチ)が1万6,500円、電子レンジが5,500円。他にもドライヤー(660円)や電気ケトル(1,100円)などを販売している(いずれも税込み)。

商品は全て殺菌クリーニング済みで1台1台検品検査を行っており、90日間の保証付き。購入はタッチパネルで決済し、現金の他にクレジットカード、各種電子マネー、QRコードに対応している。

家電の場合、問題となるのは配送の有無である。配送無の場合は貸出車が利用できるのでそのまま持ち帰りできる(台数に限りがあるので、利用時間は3時間以内)。

決済はタッチパネル
[

地域店のネットワーク生かす

配送・設置を希望する場合は、タッチパネル横のQRコードを読み取り配送依頼を行う。その具体的な流れは「商品を選ぶ」⇒「配送・設置をタップして自宅エリアの配送料金を選んで決済」⇒「タッチパネル横にある案内に従いQRコードを読み込み、LINEから配送依頼を完了」⇒「5日以内に指定の場所に配送・設置」というプロセスを踏む。店内では安心して利用できるようにアニメーション動画で購入方法を案内している。

セキュリティでは顔認証カメラを設置し、複数のカメラによる24時間対策を講じている。決済を行わずに商品を持ち出そうとするとセキュリティが反応する仕組みだ。

売り場面積、商品展示のボリューム、配送・設置方法の分かりやすさ、アフターフォローなどといった課題はあるものの、家電の無人店舗はウイズコロナ時代の地域店経営のヒントを提示している。

リユース商品の調達や既存店舗の活用、チラシやSNSでの情報発信などで地域店同士のネットワークを活用すれば、人件費や店舗運営などのサービスコストを極力まで抑えた家電の無人型リユース店舗の運営が可能になるかもしれない。

八巻 潔

八巻 潔

投稿者の記事一覧

株式会社ブレインズ代表
1979年「電波新聞社」に入社。
1996年家電・IT関連の出版社「リック」に入社。
「技術営業」「IT&家電ビジネス」編集長を経てリック専務取締役。
「ヤマダ電機に負けない 弱者の戦い方」(2008年)「家電製品アドバイザー試験 早期完全マスター」(2001年~2013年)などを出版。
2014年家電業界のジャーナリスト&コンサルタントとして独立。
2016年株式会社ブレインズ設立。

関連記事

  1. コロナ禍で注目の洗濯機とは
  2. 「家電とパン」の融合ショップ
  3. Z世代とアナログレコード
  4. 都市型量販は惨敗でも地域店は健闘
  5. コロナ禍で急伸の意外な商品とは
  6. 「新型コロナウイルス検定」で安心と笑顔を
  7. 迫る「総額表示」の義務化
  8. 薄型テレビ「販促手法」に変化

地域店ドットコム運営元

株式会社ブレインズ

ブレインズのコンサル

地域店 コンサルティング

おすすめ記事

前代未聞の合展&バスツアー

売上目標0円、合展ではなく勉強会に1月29日、全国津々浦々から地域家電店の精鋭80以上の店…

最近の投稿

PAGE TOP