1980年代には2万7,000店まで拡大したパナソニックショップだが、現在は約8,000店とピーク時の3割程度に落ち込んでいる。家電市場がシュリンクしている中で、顧客の変化に対応する「業態化」を図っていかなければショップの生き残りは難しい。
パナソニックショップの有力店である「京王電業社(電化のケイオー)笹塚本店」(東京都渋谷区、福田順亮専務)は昨年12月、最新家電とリフォーム体験を切り口に40坪の店舗をリニューアルオープンした。
家電小売業から「暮らし提案業」への変身を図ったもので、家電とリフォームのシナジー効果を狙った4つの体験コーナーを新設、話題のサブスクリプションビジネスもスタートさせた。
改装では、従来の家電店から家電+リフォームの「暮らし提案店」を目指した。家電の在庫は大幅に圧縮。品揃えは生活家電とAV機器、調理家電、美容家電などのプレミアム機種を中心に、家電とリフォームビジネスのシナジー効果を出せるような展示に工夫を凝らしたという。
パナソニック自慢の美容家電のプレミアム機種を集めたエステブースは有料化にしている。使用料は1回1,500円、お得な3回券(3,000円)や5回券(4,500円)も発行。さらに、定額使い放題月額4,500円のサブスクリプションサービスを提供する。
独自のエステメニューも用意した。笹塚本店の女性スタッフがサポートする「ベーシッククリア肌コース」、「ハリ/弾力コース」、「皮脂ケアコース」、「フェイスラインコース」など。いずれもビューティプレミアムを使用したものだ。
さらに、化粧品会社などの協力を得て、髪や肌診断、メイクアップ術などのイベントを実施している。エステの有料会員は200人を目指している。
お客のリフォームのイメージづくりを念頭に開設したのがキッチン・イベントコーナー。アイランドキッチンを導入し、最新のIH炊飯ジャーやホームベーカリー、スチームオーブンレンジ、ロティサリーグリル&スモークなどを揃えた。最新家電と最新キッチンがマッチングした夢のある空間だ。
体験型家電コーナーでは、4Kテレビやブルーレイレコーダー、冷蔵庫や洗濯乾燥機など、話題の大型家電が実際に使える。リビングルームや洗面化粧室などのお客の生活シーンに家電をマッチさせているのがポイントだ。
ヘルシーカフェコーナーでは、健康に特化したオリジナルスムージーや素材にこだわったチョコレートドリンクなどが楽しめる。例えば、胃腸を整え老化防止に良いとされる食材で作る「プレミアムグリーン」、疲労回復、風邪防止に効果的とされる食材で作る「オレンジスムージー」など10種類のメニューを揃えた。
今回の店舗改装について、福田専務はこう話している。「体験型店舗へのリニューアルで、家電需要が大幅にアップするとは考えにくいが、商品単価と客単価を上げることはできる。重要なのは店舗を活用して、家電の既存客に対してはリフォームを、リフォームの新規客には家電を提案できる点。家電とリフォームのシナジー効果をどこまで出せるかがポイントになると思う」。