2025年には12兆円を目指す
現状のリフォームマーケット規模は6兆円とも7兆円ともいわれている。過去、2013年度は8%への消費増税前の駆け込みがあり、6.9兆円までマーケットはのびたが、その後は反転。以来落ち込みが続いている。
ただ、政府は2025年にリフォームマーケット12兆円の市場目標を掲げており、その数値に向けてさまざまな活性化策を講じる予定だ。
気になるところは、実際にマーケットが伸びるのかというところだろう。例えば野村総研の発表では、リフォームマーケットは6兆円から7兆円規模(家具やインテリを含めた広義の定義)で横ばいに推移すると予測をだしている。これは家電製品の市場規模にほぼ一致している。
リフォームに関連する適正年の新設住宅着工数、平均築年数、名目GDP成長率から、数値予測を出しており、マーケットが現状のままでは、大きくならないという見方だ。
実際のところは、マーケットはどうなるのだろうか。私の個人的な意見をいうと、需要掘り起こし策を実行することで、伸ばせる可能性が見込める状況にはある。
リフォームを実施する年齢層や世帯収入、などを加味すると大きく伸ばす要素はなく、単純に1世帯当たりでリフォームに費やす金額を大きくしなければ間違いなく、マーケットは活性化しない。
現在、戸建て住宅において1年間にリフォームに利用する金額は20万円。マンション(専有部)は約10万円となる。この金額を単純に倍にする必要があり、戸建て住宅では年間40万円、マンションで20万円の支出を目指すのが指標だ。
リフォームの価値と魅力を伝える
そのためにはどうすればいいのか。まず、必要な点は原資の確保。今後、世帯収入は大きく伸びないとするならば、他にかけられている費用をリフォームにかけてもらう必要がある。
例えば、退職金の使い道として、国内旅行や海外旅行のニーズが最も高いため、その一部を住まいにかけてもらう文化構築等が必要となる。保険の費用を見直し、リフォームにかけてもらうことも必要だろう。
住まいの寒さを改善すれば、病気が減ることは立証されており、改修を行うことで病気のリスク軽減が図れる。また、住まいに費用をかけることで、日常の暮らしが豊かになるという情報訴求が必要だろう。
最新のお風呂は、かびの抑制できる機能や、湯船のお湯の温度を高いままたもつ機能が備わる。そうした情報が正確に伝われば、「リフォームをしたい」を引き出せるはずだ。
□また、適正な時期にメンテナンスをしてもらうこともリフォームマーケットの拡大に寄与する。例えば塗装。あるアンケートでは、塗装の平均実施年数は築20年となっているが、20年前の住宅を考えると、適正な塗装実施時期は10~15年の住宅が多い。
適正に塗装が行われていないため、住宅がいたみ、長く利用できない状況になっている。塗装市場はリフォームの中でも大きく約20%を占めるため、市場規模は1兆2,000億円もある。もしも2年でも実施年数を早められたら、マーケットは1割伸びることになり、1,200億円ものインパクトがある。
□全国のリフォーム事業者は「リフォーム産業新聞社」の調べでは7万社弱。そうした事業者が1社ずつ、リフォームの価値、魅力を伝えることで、マーケットの可能性はいくらでも広がっていく。